ドローンの免許とは?農業用ドローンの操縦・飛行のために必要なこと

近年商業向けの活用が本格化してきたドローン業界ですが、それにともなって農業用ドローンの種類も増えてきました。

農業用ドローンは、高解像度カメラで農地を撮影することで、人が入りにくい場所の生育状況を把握したり、人間にかわって安全に農薬を撒いたりすることができて、人手不足の農業界で活躍が期待されています。

しかし、ドローンは誰でも自由に好きなときに、好きなところで飛ばして良いわけではありません。

用途に応じて、操縦技術や申請が必要になってきます。

飛行禁止区域でドローンを飛ばしてしまうと罰則があるので、トラブルにならないためにも、事前に農業用のドローンについての知識を得ることをおすすめします。

1.農業用ドローンとは?

1-1.農業用ドローンの種類

農業用のドローンは、用途によって違う特性を持っています。

・農薬散布用

農地に農薬を散布するために、農薬散布用のタンクを備えていたり、農薬散布用の装置を備えていたりします。農薬を散布するので、本体が防水になっているものもあります。

・画像解析用

農地の農作物の生育状況や病気の状況、害獣の発見などをするために、カメラで撮影するドローンです。当然ながら、高画質カメラを積載しているのが特徴です。

1-2.農業用ドローンでできること

農業用ドローンを使うことで、人に代わって農薬散布を行ったり、カメラ付きのドローンで農地の中を監視することができます。

1-3.農業用ドローンを使うメリット

農業用ドローンを使うことで、稲の生育状況など、農地の農作物の管理が楽になります。

農地に入っていって、それぞれを見なくても上空から見ることで、全体を把握できます。

また、カメラで映像や画像を残しておくことで、以前の状況と比べることができ、データ管理をする資料としても使えます。

農薬散布も、人が入って撒くよりも安全で早く、楽に作業をこなせます。

2.農業用ドローンの操縦に免許は不要

ドローンは操縦についての資格・免許はありますが、車のように「免許がないと操縦できない」というわけではありません。

免許は認定資格を含めてたくさんありますが、「〇〇を持っていないと操縦できない」というようなことはありません。

ただし、実際に200グラム以上のドローンを飛ばす際には許可が必要になりますが、その許可を得るために免許を持っていると、許可を通すときに有利になります。

農業用のドローンを使いたい場合には、ドローンの免許のひとつともいえる「産業用マルチローター技能認定」は持っておいた方が良いでしょう。

3.農業用ドローンを操縦するのに必要な申請

農業用ドローンを飛ばし、操縦を行うためには大きく分けて3つの申請が必要なので、それぞれ説明していきます。

3-1.危険物輸送

農業用ドローンに農薬を乗せて散布するには「危険物輸送」という承認を得ることになります。

「危険物輸送」は改正航空法により定められた「許可・承認が必要な6つの飛行の方法」の一つです。

ドローンはもともと空撮や操縦を楽しむものとして作られたもので、そのような使い方を想定しています。

その後、ドローンの発展によって性能が向上し、重いものも運べるようになったため、農薬散布など農業用として使えるようになりました。

しかし、性能が向上したことによってドローンにさまざまなものを載せられるようになり、中には危険物を搭載してテロ行為など犯罪行為に活用することを考える人も出てきました。そのため、現在ドローンによる危険物輸送には申請が必要になりました。

危険物を取り扱う必要がある場合は、その趣旨や内容を明確にし、国交省への申請を行う必要があります。

その際には、ドローンの機体、安全対策や操縦技能なども審査されることになります。そういった点からも、「産業用マルチローター技能認定」を持っておくことは重要になるのです。

3-2.投下の承認

ドローンから物を投下することを「物件投下」と言いますが、こちらは「改正航空法」により定められた「許可・承認が必要な6つの飛行の方法」のうちのひとつです。

改正航空法では基本的に「無人航空機から物を投下しないこと」となっているため、農薬散布など、物を投下する場合には許可が必要になります。

「投下」とは、ドローンが浮いた状態から、運んでいた物を切り離して落とすことで、ドローンが着陸して、物を地面に置く場合は投下とは違います。

物件投下の承認を得るためには、不用意に物件を投下しないような機体であるなどの「機体基準」、安全に適切な操縦ができる操縦者の「飛行させるものの基準」、周囲への注意喚起などを行う「安全確保体制」の3つを、通常のドローン許可申請の基準に付け加える必要があります。

3-3.都道府県包括申請(飛行承認)

ドローンの申請には2種類あって、一つが「個別申請」で、もう一つが「包括申請」です。

「個別申請」とは、誰が、どこで、いつ、どのコースを飛ばすなど、ドローンを飛ばす内容について、事前に細かく設定して申請する方法です。

一方、「包括申請」とは、飛ばす場所はざっくり、飛ばす時期もざっくり、と細かいところを決めないで、許可をもらう申請です。

これだけ見ると、細かいことを事前に決めておかない包括申請の方が、自由度が高くて便利だと思いますが、包括申請の場合には3ヶ月ごとに「いつ、どこで、誰が、どのように」飛行させたかというのを報告する義務が発生します。

また、個別申請で細かく設定するよりも、包括申請の方が自由度が高いために許可に対するハードルが高くなっています。

しかし、農業用ドローンで農薬散布を行う場合には、天気の関係もあったりして、期日が指定できないことも多いと思います。期日の指定がなかなかできなかったり、申請をうまく自分でできない場合には、行政書士などに申請関係の業務を任せるということもおすすめです。

4.農業用ドローンを操縦のためにとっておくと良い技能認定資格

4-1.産業用マルチローター技能認定

先にも述べた、「ドローンの免許」のひとつとも言える技能認定資格です。

・取得方法

まずは「農林水産航空協会」の指定教習施設で教習を受講します。年によって指定教習施設が変わることもあるので、農林水産航空協会のホームページを見てどこで教習が受講可能か調べておきましょう。

産業用マルチローター技能認定は、使用するドローンに対して取得します。そのため、使用するドローンの講習を利用する施設で受けることができるか、確認が必要です。

各施設で講習を受講後、検定に合格することで、技能認定証を得ることができます。

・金額

金額は施設によって違いますが、おおよそ15万円くらいと考えておくと良いでしょう。

4-2.農林水産航空協会認定のオペレーターライセンス

・取得方法

こちらのオペレーターライセンスは、前述した産業用マルチローター技能認定と同意義のものです。名前の呼び方が変わっているだけで、取得の手順等は産業用マルチローター技能認定と変わらないものとなっています。

・費用

こちらも講習を受ける施設によって違ってきますが、15万円ほどと考えておくとよいでしょう。

4-3.ドローンスクールジャパンビジネスコース、スマート農業コース

ドローンスクールジャパンは、世界最大級の屋内ドローンスクールです。

ドローンスクールジャパンの中にはいろいろなコースがありますが、今回は農業に使用するためのコース「ビジネスコース」「スマート農業コース」を紹介します。

・ビジネスコース

ビジネスコースはドローン操縦経験10時間以上の方専用のコースです。

産業用ドローン操縦士には8の字旋回、赤外線カメラ撮影など20種類の技能が必要になりますが、それらを2日間の講習で取得することができます。

講習に必要なドローンは無料で貸出してくれるので、自ら用意する必要はありません。

20種類の技能のうち15種類以上を習得する事が出来たら、ドローンスクールジャパンの認定資格「DS・J2つ星技能認定」が取得できます。

・費用

ビジネスコースの受講費用は20万円(税別)です。

・スマート農業コース

ビジネスコースを合格した後に選択できる、ドローンを農業に活用するために必要なスキルを身につけるための専門のコースです。

3日間の屋内、屋外の講習で、農薬散布ドローンの操縦技術や修理、メンテナンスなどの基本的な知識を身に着けていきます。こちらも使用する機体は無料で貸出してくれます。

・費用

費用は講習内容によって変わってきますが、15万円(税別)からの価格設定となっています。。

5.まとめ

農業用ドローンの飛行、操縦に必要なこととして以下のようなことが挙げられます。

・200g以上のドローンは飛行許可の申請が必要

・農薬散布にはさらに許可が必要

・産業用マルチローター技能検定は農薬散布に持っていた方が良い資格

・ドローンスクールジャパンには農業コースがある

農業用ドローン、特に農薬散布には通常のドローンの飛行よりも技術的、作業的なハードルが多いですが、その分参入障壁が高くなるので、安定したビジネスになりやすいです。

今後、少子高齢化で農業の就業人口がますます減っていくなか、農業用のドローン業界は発展を続けていきます。いまから対策をしておくことで、ビジネスの波に乗ることも可能になるでしょう。になるでしょう。

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