ドローン免許取得方法|アマチュア無線資格が必要になるFPVとは?

最近はニュースやラジオ、インターネットなど様々なメディアでドローンについて取り上げられています。産業ドローンによる農業や空撮、輸送や物流などの経済効果から軍事的な利用にも期待される一方で、個人的に趣味として楽しむ方も増えました。

こうしたホビー用途のドローンに興味を持った方がまず気になるのは、ドローンを飛ばすために必要な免許のことではないでしょうか。

ホビー用のドローンにも様々な種類があり、使用する機体や装備、または飛行目的によって必要となる免許や許可が異なってきます。

特に人気が高まっているFPVドローンによるレースや空撮を行う際には、アマチュア無線の免許(国家資格)が必要になります。

免許や国家資格と聞くと難しく感じるかもしれませんが、ドローンを飛ばすための「第4級アマチュア無線技士」は小学生でも取得できるものですので、どなたでもドローンを楽しむことができます。

今回はこのアマチュア無線免許の取得方法と飛行時の注意点を詳しくお伝えしますのでぜひ参考にしてください。

1. ドローンに必要な免許「アマチュア無線」とは?

1-1. FPVドローンとアマチュア無線

ドローンを飛ばすためにはいくつかの免許がありますが、その中の1つがFPVドローンを飛ばす場合の第4級アマチュア無線技士免許です。

・FPV(First Person View)とは?

FPVとはFirst Person View(ファーストパーソンビュー)を略したものです。ドローンに取り付けたカメラ映像を送信機(VTX)から受信機(VRX)に無線を使って送受信し、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)やモニーターで確認することで遠隔操縦を可能するものです。

その迫力は、まさに操縦席に乗っているような感覚を体感することができ、今ではFPVドローンレースの世界大会が開かれるほど人気が高まっています。

・FPVドローンレースとは?

下の動画は2016年にドバイで行われたFPVドローン世界大会の様子です。なんと、この時の賞金総額は約1億2000万円にもなります。

この時のドローンからの映像がこちらになります。(10分ほどの長い動画になっていますが、FPVの臨場感は初めだけチェックしていただければ体感できます。)


このFPVドローンレースの魅力は、

・まるで操縦席に座っているかのような臨場感

・最高時速150km〜200kmにもなるスピードを体感

・高額賞金

など世界的に人気が高まっている”スポーツ”と言えるでしょう。また、日本国内でのドローンレースは以下のようなものがあります。

・日本ドローンレース協会(JDRA)

・JAPAN DRONE LEAGUE(JDL)

・Drone Impact Challenge

1-2. ドローンにアマチュア無線免許が必要な場合・不要な場合と注意点

以上のようなFPVドローンの映像を利用する場合には、映像送信器(VXT)から映像受信機(VRT)へ無線を使うことになるため、電波法に則りアマチュア無線免許が必要になります。

一方で、同じようにドローンから画像を送受信する場合でも免許が不要な場合もあります。使用する機体や機器によって免許の有無が異なりますので、用途に合わせた方法を選ぶようにしましょう。

・アマチュア無線免許が必要な場合

FPVドローンには主に5.8GHzの周波数が利用されています。こうしたアマチュア無線を利用したドローンを飛ばす場合にはアマチュア無線免許(第4級アマチュア無線技士)が必要になります。

また、同時にFPVドローンの機体に対しては後述する無線局免許の取得も必要になります。

※アマチュア無線免許は営利目的の業務に使用することはできません。業務利用する場合には後述する第三級陸上特殊無線技士が必要になります。

・アマチュア無線免許が不要な場合

FPVとは異なり、ドローンから撮影した映像をスマホやパソコンと無線LANを利用して送受信する方法もあります。これは小電力無線局に該当するためアマチュア無線免許は必要ありません。

・「技適マーク」がないと電波法違反になる

アマチュア無線免許の有無に関わらず、ドローン機体や周辺機器には下の図のような「技適マーク」が付いていることが必須です。

最近ではインターネットで簡単にドローンの購入ができるようになりました。特にFPVドローンの場合には海外製のものが多くなりますが、日本で使用するためにはこの技適マークが付いていることが必須になります。

仮に技適マークのないドローン等を使用すると電波法違反となってしまいますので、購入時には十分に注意する必要があります。

1-3. アマチュア無線とWi-FiやBluetoothの違い

ドローンのカメラ映像をWi-FiやBluetoothを利用する場合にはデジタル処理が必要になるため、送受信に遅延が出てしまいます。

つまり、ドローンの目視操縦の確認だったり、空撮アングルの決定等の補助的な使用には問題ありませんが、リアルタイムでの映像確認が必要な場合には向いていません。

一方で、アマチュア無線を利用するFPVドローンであればタイムラグが生じないため、遠隔操作が必要なドローンレースや空撮など使用することができます。

このように、ドローンを利用する用途に応じて必要となる免許や申請等が異なりますので注意しましょう。

2. FPVドローンに必要な第4級アマチュア無線技士免許とは?

2-1. 第4級アマチュア無線技士(国家資格)の取得難易度と合格率

それでは第4級アマチュア無線免許について詳しく確認していきましょう。

アマチュア無線技士には第1級から第4級までありますが、FPVドローンの操縦にはもっとも取得が簡単な第4級アマチュア無線技士の資格が必要になります。

このアマチュア無線は国家資格になりますが、年齢制限がないためどなたでも受験可能です。試験内容は小学生でも合格例がある程度の問題となっています。

もしくは、養成課程講習会を受講することでも取得できますので、ほとんどの方が取得できる免許と言ってもいいでしょう。

2-2. ドローン免許「第4級アマチュア無線技士」の受験方法と費用

第4級アマチュア無線技士免許の取得方法を詳しく確認していきましょう。ここまでにもお伝えしている通り、

・国家試験を受験する

・アマチュア無線技士養成課程講習会を受講する

この2つの方法がありますが、おすすめは国家試験を受験する方法です。過去問題集が販売されていますので、こちらで勉強して試験に望めば高確率で合格できますし費用も抑えることができるからです。

①国家試験を受験する

試験問題は4択形式(マークシート)で法規12問、無線工学12問となり、それぞれ8問以上の正解が合格ラインとなります。また、合格率は平均70%以上と言われています。

試験は公益財団法人日本無線協会により全国で開催されています。東京では毎月当日受験も可能ですが、その他の地域では事前申し込みが必要になります。また、年間1〜2回の開催しかない地域もありますので試験案内で詳細を確認するようにしましょう。

受験費用は、以下のようになります。(平成30年度の場合)

・事前申し込みの場合…5,012円(ゆうちょ銀行・郵便局振込、もしくは窓口支払い)

・当日受付の場合…5,070円(現地払い)

また、試験結果は当日(試験終了1時間後)に発表されますが、合格者は別途免許申請が必要になります。試験当日にも申請可能ですが、その際には以下のものを用意しましょう。

・免許申請書の用紙代…170円

・免許申請手数料…2,100円

・住民票

受験当日に免許申請も行う場合には、事前に住民票を取得する必要がありますので注意してください。

受験日や申し込み方法、注意点などは公益財団法人日本無線協会のホームページhttp://www.nichimu.or.jp/から確認することができます。

②アマチュア無線技士養成課程講習会を受講する

一般財団法人日本アマチュア無線振興協会(JARD)が開催するアマチュア無線技士養成課程講習会を受講すると、国家資格の受験が免除され、第4級アマチュア無線技士の取得が可能です。

講習会は2日間に渡り、法規6時間、無線工学4時間を学びます。どなたでも受験可能となっていますが、年齢によって費用が以下のように異なっています。

・一般…22,750円

・18歳以下…7,750円

一般の方の場合、国家試験よりも4倍以上の費用がかかりますので注意してください。書店などで過去問を確認し、その内容が難しそうであれば講習会を受講されるといいでしょう。ただ、先ほどもお伝えした通り合格率は70%以上となっていますので、国家試験を受験される方法がおすすめです。

全国の講習会日程や申込書は日本アマチュア無線振興協会(JARD)のホームページhttp://www.jard.or.jp/course/index.htmlから確認することができます。

3. FPVドローンには無線局免許も必要

第4級アマチュア無線技士に合格したら、FPVドローンの機体や使用する機器に対する無線局免許も同時に必要となります。無線局免許なしで飛行させた場合には電波法違反となり、100万円以下の罰金が課せられてしまいます。

ここまでお伝えした第4級アマチュア無線技士の免許は、アマチュア無線を操作するためのものであるのに対し、無線局免許とは無線の利用に対する免許状となります。

具体的には、総務大臣の免許状を取得し、無線局を開設することになります。

3-1. 無線局免許状の取得方法

アマチュア無線の場合、無線局免許状の取得方法は、次の3ステップになります。

①申請(申請書とともに無線局開設理由、設置場所、無線機の工事設計などを添付)

②審査

③免許交付

申請書は総務省の電波利用に関するホームページhttp://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/proc/type/aptoli/index.htmの右上にあるリンク先よりダウンロードすることができます。

もしくは、インターネットを利用して電子申請することも可能です。下でお伝えしている通り、電子申請の方が手数料を抑えることが可能です。

3-2. 無線局免許の取得費用

無線局の種別 アマチュア無線局
基本送信機の規模(空中線電力による) 50ワット以下のもの 50ワットを超えるもの
新規免許申請手数料 4,300円

(2,900円)

8,100円

(5,500円)

再免許の申請手数料 3,050円

(1,950円)

※(  )内は電子申請時の費用

 

引用:総務省 http://www.tele.soumu.go.jp/j/ref/material/feestab/index.htm?print

4. アマチュア無線を利用したドローンを業務に利用する場合に必要な免許

4-1. 第三級陸上特殊無線技士(国家資格)の取得難易度と合格率

ここまでお伝えした免許(第4級アマチュア無線技士+無線局免許)は、アマチュア無線を利用したドローン(FPVドローン)を”個人”で使用する場合に必要となる免許になります。

一方で、業務用として利用する場合には第4級アマチュア無線技士ではなく第三級陸上特殊無線技士という国家資格が必要になります。例えば、FPVドローンを利用した空撮を仕事にする場合などが該当します。

こちらも第四級アマチュア無線技士と同じで受験資格に年齢制限はなく、試験内容は中学生でも合格できるほどですので、取得困難な免許ではありません。合格率を見ても70〜80%ほどとなっています。

また、こちらも指定の講習会を受けることでも資格取得可能ですので、どなたでも取得できる免許と言えます。

4-2. ドローン免許「第三級陸上特殊無線技士」の受験方法と費用

第三級陸上特殊無線技士の取得方法をまとめると、

・国家試験を受験する

・特殊無線技士養成課程講習会を受講する

この2つの方法があります。第4級アマチュア無線と同じで、試験の難易度や合格率を考えると国家試験を受験するほうが費用を抑えられるためおすすめです。

①国家試験を受験する

試験は公益財団法人日本無線協会によって開催され、試験内容は法規12問、無線工学12問となり4択のマークシート方式です。過去問が販売されていますので、こちらで繰り返し勉強するのがいいでしょう。受験費用や試験日、試験会場は以下の通りです。

・受験費用:5,162円

・免許申請手数料:1,750円(免許郵送の場合は切手代82円)

・試験会場:東京、札幌、仙台、 長野、金沢、名古屋、 大阪、広島、松山、 熊本、那覇

・試験日:6月、10月、2月

各年度の詳しい日程や会場は日本無線協会のホームページより確認することができます。

また、受験のためには事前申し込みが必要となり、申請書を日本無線協会の窓口もしくは郵送で取り寄せるか、インターネットでの申し込みが可能です。

試験の詳細やインターネット申し込みは日本無線協会のホームページhttp://www.nichimu.or.jp/をご確認ください。

②特殊無線技士養成課程講習会を受講する

日本無線協会本部や支部もしくは委託法人、団体が開催する特殊無線技士養成課程講習を受講することで、国家試験が免除されます。その内容は無線工学2時間、法規4時間が必要になります。受講費用や会場については以下の通りです。

・受講費用:25,916円(免許申請手数料含む)

・講習会場:全国

・開催日:要確認

詳しい日程や会場については日本無線協会のホームページhttp://www.nichimu.or.jp/より確認することができます。

5. ドローンのアマチュア無線免許の取得方法まとめ

いかがだったでしょうか。FPVドローンなどの無線を使用するドローンを飛ばす場合にアマチュア無線免許が必要になります。取得する免許は飛行目的に応じて以下のようになります。

・個人的な飛行:第4級アマチュア無線技士

・業務的な飛行:第三級陸上特殊無線技士

どちらも国家資格になりますが、合格率は70%以上(小・中学生でも合格例あり)ですので過去問を繰り返し勉強して試験に臨んでいただくといいでしょう。

また、どちらの場合であっても、無線局免許の取得も必要になります。それぞれの免許を取得せずにドローンを飛行させてしまうと法律違反となってしまい、100万円以下の罰金が課せられる可能性がありますので注意しましょう。

FPVドローンでレースや空撮を行う際には必須の免許となりますので、今回の記事を参考にしていただき免許取得を目指してください。

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